行政事件訴訟法 取消訴訟 その8

 行政法の紹介、30回目です。今日は、行政事件訴訟法の取消訴訟の8回目で、取消訴訟の審理の手続きの2回目です。 3.仮処分の排除  「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができない(44条)。」  つまり、行政庁の処分を、仮処分によりその執行を仮に差し止めてしまうことはできないということです。 4.執行不定詞の原則と内閣総理大…

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行政事件訴訟法 取消訴訟 その7

行政法の紹介は、随分間が空いてしまいましたが、29回目です。今日は、行政事件訴訟法の取消訴訟の7回目で、取消訴訟の審理の手続きです。 1.審理の概要  取消訴訟の審理は、次の順に行われる。これは、不服申立ての審査請求の審理と同様である。  ①要件審理(訴訟要件を備えているか?)   要件を備えてない場合は、却下判決となる。要件を備えていれば、次の本案審理となる。  ②本案審理(…

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行政事件訴訟法 取消訴訟 その6

行政法紹介の28回目、今日は、行政事件訴訟法の取消訴訟の6回目で、取消訴訟の対象となる一定の要件のつづきです。 ⑥出訴期間  取消訴訟は、一定の期間内(出訴期間という)に提起することが必要とされ、この期間を経過した後は、当該処分が無効でない限り不可争力を生じる。 ・行政事件訴訟法14条 1項 取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知った日から六箇月を経過したときは、提起する…

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行政事件訴訟法 取消訴訟 その5

 行政法紹介の27回目、今日は、行政事件訴訟法の取消訴訟の5回目で、取消訴訟の対象となる一定の要件のつづきです。 ③訴えの利益  ここで述べる訴えの利益とは、すでに述べた二つの要件、①処分性と②原告適格を除いた訴えの利益のことで、狭義の訴えの利益ともいわれる。  取消訴訟によって処分が取消された場合に、  ・原告が現実に法律上の利益の回復が得られる。  ・原告に現実的な救済が与えら…

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行政事件訴訟法 取消訴訟 その4

 行政法紹介の26回目、今日は、行政事件訴訟法の取消訴訟の4回目で、取消訴訟の対象となる一定の要件についてです。 ②原告適格 取消訴訟は、「処分または裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するものに限り、提起することができる。」 法律上の利息を有するものには、次の3つがある。 a)処分または裁決の相手方 b)処分または裁決の相手方ではないが実質的な当事者  例)Aさんに利…

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行政事件訴訟法 取消訴訟 その3

 しばらく間が空いてしまいましたが、行政法紹介の25回目、今日は、行政事件訴訟法の取消訴訟の3回目です。 5.取消訴訟の対象  取消訴訟は、どんな場合でも提起できるわけではなく、次のような一定の要件を備えなければ提起できない。 <要件> ①処分性 ②原告適格 ③訴えの利益 ④被告適格 ⑤管轄 ⑥出訴期間 ⑦審査請求前置主義 ⑧一定の要件を満たした訴状の提出 そ…

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行政事件訴訟法 取消訴訟 その2

行政法紹介の24回目、今日は、行政事件訴訟法の取消訴訟の2回目です。 3.処分の取消しの訴えと審査請求との関係  行政処分がなされた場合、これを不服とする者は、審査請求ができる場合でも、直ちに取消訴訟が提起できる(自由選択主義)。ただし、法律に審査請求をした後でなければ取消訴訟を提起できない旨の定めがあるときには、この限りではない(審査請求前置主義)。  なお、前記のただし書きの理…

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行政事件訴訟法 取消訴訟 その1

行政法紹介の23回目、今日は、行政事件訴訟法の取消訴訟です。 1.取消訴訟の意味 ①処分の取消しの訴え  行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為から、裁決・決定を除いたものの取消しを求める訴訟  (例)営業停止処分の取消しを求める ②裁決の取消しの訴え  審査請求、異議申立て、その他の不服申立てに対する行政庁の裁決・決定その他の行為の取消しを求める訴訟    ①、②を…

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行政事件訴訟法の総則

行政法紹介の22回目、今日は、行政事件訴訟法の総則です。 1.行政事件訴訟とは ・国民が行政権の行使によって違法に権利利益が侵害されたと考える場合に、裁判所に訴えて、その救済を求める訴訟手続のこと。 ・行政事件訴訟の一般法として行政事件訴訟法がある。昭和37年に制定され、平成16年に大幅な改正が行われた。 ・民事事件訴訟を扱う民事訴訟法とは区別しているが、行政事件訴訟法の7条に「…

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行政不服審査法 裁決と決定

行政法紹介の21回目、今日は、行政不服審査法の裁決と決定です。 1.裁決と決定の種類 ①審査請求に対する裁決及び異議申立てに対する決定は、書面で行い、かつ理由を付さねばならない。 ②種類は次の3種類がある。 ・却下:請求の要件を満たしていない不適法な場合。 ・棄却:請求理由が無いとして原処分を正当・適法なものとして維持する。 ・認容:請求内容に理由があるとされる場合。但し、不服申…

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行政不服審査法 執行停止

 行政法紹介の20回目、今日は、行政不服審査法の執行停止です。  行政不服審査法は、不服申立ての濫用による行政の停滞を避け、行政の円滑な運営のため、不服申立ては「処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない」と規定している。これを執行不停止の原則という。  しかし、不服申立人の権利救済を図るため、執行不停止の原則にも例外があ利、以下の場合には執行が停止される。 ①処分庁の上級行政…

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行政不服審査法 教示

行政法紹介の19回目、今日は、行政不服審査法の教示です。 1.教示とは  処分庁が処分を行う場合に、不服申し立てという制度があり、いつまでにどこの行政庁にどんな手続ができるかを処分の相手に知らせる制度のこと。 2.教示をする場合 ①行政庁が不服申立てをすることができる処分をする場合 (57条1項) ②行政庁に利害関係人から教示の請求がある場合(57条2項) 3.教示の内…

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行政不服審査法 不服申立ての手続-2

 行政法紹介の18回目、今日は、行政不服審査法の不服申立ての手続の処分についての審査請求の手続です。 1.手続の流れ (1)審理の方式  ①特色   ・書面審理主義(⇔口頭審理主義)   ・職権主義(⇔当事者主義)  ②当事者主義的要素の導入  ・審査請求人または参加人の申立てがあると審査庁は口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。  ・審査請求人または参加人は、証拠書…

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行政不服審査法の不服申立ての手続

行政法紹介の17回目、今日は、行政不服審査法の不服申立ての手続です。 1.不服申立て人の資格 ①不服申立てをすることができる者について行政不服審査法では、「行政庁の処分に不服がある者」または「不作為に係る処分その他の行為を申請した者」と規定している。 ②自然人、法人に限らず、法人でない社団・財団も代表者または管理人の定めがあればその名で不服申し立てができる。 ③多人数で共同して不服申…

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行政不服審査法総則-2

行政法紹介の16回目、今日は、行政不服審査法の総則のつづきです。 2.行政不服申立ての種類  種類として、審査請求、異議申立ておよび再審査請求のつがあります。 (1)審査請求 ①審査請求は、処分又は不作為をした行政庁(処分庁という。不作為の場合には不作為庁という。)以外の行政庁に対して行うものです。 ②行政不服審査法は審査請求を原則とし、異議申立てを例外としています。 …

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行政不服審査法総則

行政法紹介の15回目、今日は、行政不服審査法の総則です。 1.行政不服審査制度とは ・行政庁の違法または不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に対する不服を行政機関に対して申し立てる手続(制度)のことです。一般法として行政不服審査法が存在します。 ・行政不服審査法は従来の訴願法(明治23年)に代わるもので、訴願法が特に列記した処分についてだけ不服申立てを認めていた(列記主義)を改…

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不利益処分

 行政法紹介の14回目、今日は、行政手続法の不利益処分です。 1.不利益処分の意味  行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいいます。 2.不利益処分の手続 ①処分基準の設定 ②意見陳述のための手続(聴聞と弁明の機会の付与)  最終的に不利益処分を行う前に、処分基準を設定し、不利益処分を使用とする場合に意見…

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申請に対する処分

 行政法紹介の13回目、今日は、行政手続法の申請に対する処分です。  行政手続法は、処分全般の手続について規定していません。「申請に対する処分」と「不利益処分」についてのみ規定しています。 1.申請に対する処分の意味  申請に対する処分とは、行政庁が申請に対して、許認可または補正、拒否をすることです。 2.申請に対する処分の手続 ①審査基準の設定、公表 ②申請者による申請…

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行政手続法総則

 行政法紹介の12回目、今日は、行政手続法の総則です。 1.行政手続法の目的(1条1項)  この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。 2.規定対象としている行政手続(1条2項) ・処分 ・行政指導 ・届出 …

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行政罰

 行政法の紹介11回目、今日は、行政上の義務の実効性を確保するための手法の一つで行政上の制裁である「行政罰」です。  行政罰は、行政上の過去の義務違反に対する制裁で行政刑罰と行政上の秩序罰に分けられます。 1.行政刑罰 ・刑法に定めがある刑罰を科します。刑罰は重い順に懲役→禁錮→罰金→拘留→科料となります。これらの付加刑として没収があります。 ・手続は原則として刑事訴訟法による訴…

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